夫の不調、私の入院。そして家族で続くカフェインレス習慣

ノンカフェイン生活

はじめに:思いがけないきっかけは、夫の不調から

今から5年ほど前のこと。

夫婦ふたりで過ごしていたある日、夫が「最近、胃の調子が悪い」と言い出しました。

市販薬を飲んでもよくならず、病院を受診すると――診断は「逆流性食道炎」。

原因ははっきりしませんでしたが、医師からは

「コーヒーや緑茶など、カフェインを含む飲み物は控えてみてください」

というアドバイスがありました。

それまで夫は、ペットボトル緑茶を1日2本、缶コーヒーも毎日1本という生活。

それらを手放すのはかなりの変化だったと思いますが、夫は素直に受け入れて、麦茶生活を始めることに。

その頃から、わが家の飲み物習慣がゆっくりと変わりはじめました。

私の妊娠、いよいよ“夫婦で”カフェインレス生活へ

夫の麦茶生活に合わせて、私もコーヒーやお茶を控えるようになった頃、妊娠が判明。

そして本格的につわりが始まりました。

香りや味に敏感になり、ふつうの麦茶でさえ辛く感じる日も増えていきました。

そんな中で、唯一飲めたのが「やさしい麦茶」。

クセがなくてやわらかい風味は、当時の私にとって貴重な水分源でした。

この頃からは、自然と夫婦でカフェインを控える生活に。

どちらか一方だけが頑張るのではなく、ふたりで同じ方向を向いて過ごせたことが、なにより心強かったです。

小さな気づかいが、心を支えてくれた

妊娠中期、私は切迫早産と診断され、1ヶ月ほど入院することになりました。

ベッド上での絶対安静。

11月末から年末にかけての入院生活は、心細さもありました。

そんな中、夫が届けてくれたのは、あの「やさしい麦茶」。

つわりの時期に私が飲めていた銘柄を覚えていて、何本も差し入れてくれたんです。

それだけでも十分うれしかったのですが…。

さらに、「甘いものも少しは食べたいだろう」と、なんと手作りのアップルパイを持ってきてくれたのです。

春巻きのような形をしたパイが、タッパーにぎっしり2つ分。

形は少しいびつだったけれど、一生懸命作ってくれたんだなと思うと、胸がいっぱいになりました。

病院のベッドの上で、そっとひとつ口にしたとき――

そのやさしさが沁みすぎて、涙が出そうになるほどでした。

あのアップルパイは、今では夫のレパートリーになり、

子どものおやつとしても、ときどき我が家に登場します。

家族みんなで続ける、自然なカフェインレス生活

今では、わが家の冷蔵庫に麦茶は年中常備されています。

気づけば、子どもも「おちゃ〜」と麦茶をリクエストするのが日課になりました。

家族そろってカフェインを控える生活が、すっかり定着。

「やめよう」と決意したわけではなく、無理なく、暮らしの中で自然に続いているのが心地よく感じます。

おわりに:「整える」って、やさしさの積み重ね

最初は、体調を守るための小さな選択でした。

でも振り返ってみると、それが心や暮らしのあり方まで、ゆるやかに整えてくれたように思います。

あのとき、夫が持ってきてくれたアップルパイ。

それは“甘いものを控えていた私への、ほんの少しのごほうび”でした。

今でも時々、子どもの「おやつなに?」の声に応えて、夫がキッチンでアップルパイを焼いてくれます。

カフェインや砂糖と、ちょうどいい距離感でつきあいながら。

わが家の「整える暮らし」は、こんなふうに続いています。